相続財産は,被相続人死亡時の遺産から,祭祀財産を除外したものです。
相続人は,預金や土地建物などプラスの財産だけでなく,借金や保証債務など,マイナスの財産も相続することになります。
①相続財産とならないもの
・生命保険金・・・・被相続人が死亡したことによって発生した債権であって,被相続人が遺した財産ではないので,受取人として指定された人の固有の財産となります。
・遺族年金・・・これも被相続人がもともと有していた財産ではないので,相続財産になりません。
・墓地や仏具,遺骨・・・祭祀の主宰者が引き継ぎます。
・退職慰労金・・・就業規則で定められた人の固有の財産になります。
②特別受益の持ち戻し
相続人の中で,被相続人から生前に多額の贈与を受けたり,遺言による遺贈がされたりした者がいる場合,これを無視して相続財産を分けると,相続人間で不公平が生じます。
そこで,贈与や遺贈された財産を「特別受益」として,計算上,遺産に加えます(特別受益の持ち戻し)。
特別受益には時効がありませんので,何十年も前に受けた贈与であっても対象となりますが,特別受益の評価は,相続開始時である被相続人の死亡時の価額で評価します。
③寄与分の控除
相続人の中に,被相続人の療養看護に努めたり,財産上の給付をするなどして,被相続人の財産の維持や増加に特別に貢献した者がいるときは,相続人間の公平を図るため,貢献した部分を寄与分として,相続財産から控除します。
寄与分がどの程度の額に相当するのかは,相続人間で話し合って決めることになりますが,協議で決まらないときは,家庭裁判所での調停や審判によって決定します。